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東京高等裁判所 昭和48年(行コ)13号 判決

控訴人(原告) 有限会社日光閣

被控訴人(被告) 鹿沼税務署長

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人は、「原判決を取り消す。被控訴人が控訴人に対してした原判決添付の別紙目録記載の決定を取り消す。訴訟費用は、第一、二審とも、被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は主文同旨の判決を求めた。

当事者双方の主張は、原判決の事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

理由

当裁判所も、当審における新たな証拠調の結果に徴しても、控訴人の本訴請求を理由がないと認めるが、その判断は、次に付加、訂正するほかは、原判決の理由と同一であるから、これを引用する。

1  原判決一六丁表九行目から同裏九行目までを次のとおり改める。

「証人浅子文吉の証言により成立を認めることができる甲第一三号証の二に同証人の証言によれば、奥日光開発や東武鉄道には、本件契約に関し、前記乙第二号証形式のもののほか、甲第一号証形式のものすなわち、特別温泉使用料について総額四、〇〇〇万円を確定せず、年間四〇〇万円を一〇年間支払いかつ一〇年の期間経過後の特別温泉使用料について関係当事者間で協議する旨記載されている契約書が存することが認められるところ、甲第一号証と乙第二号証の成立年月日は同一日時であつて、両者の関係は、本件証拠上必ずしも明確ではないが、証人伏木壮吉の証言によると、鹿沼税務署が中禅寺温泉の関係旅館業者を集めての協議会においては、特別温泉使用料の総額金四、〇〇〇万円の支払のみが関係者間で強調されていたことが認められ、かつ、甲第一号証では立会人として日光市長のみが記名押印しているのに、乙第二号証では日光市長の外に栃木県知事が立会人として記名押印していて、形式的に乙第二号証の方が甲第一号証の方より慎重を期していること、乙第二号証の記載内容が甲第一号証の記載内容より詳密であることなどに鑑みれば、乙第二号証の記載内容をもつて前示契約に関する最終的合意内容を記載したものと認めるのが相当である。

右認定に反する証人伊藤栄吉、同小平常夫(原審および当審)の各証言は、にわかに措信しがたい。」

2  原判決一七丁裏六行目の「証人小平常夫の証言」のあとに、「(原審および当審)」を加える。

3  原判決一八丁裏三行目のあとに、「なおこれと異なる見解を述べる証人飯塚毅の証言は、前段説示のとおり、これを認めることができない。」を加える。

以上説示したとおり、控訴人の本訴請求は理由がなく、これを排斥すべきところ、これと同旨の原判決は相当であるから、民事訴訟法第三八四条により、本件控訴を棄却することとし、控訴費用の負担については同法第八九条、第九五条を適用し、主文のとおり判決する。

(裁判官 瀬戸正二 小堀勇 奈良次郎)

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